精神や身体に障害がある人を支援するための制度に、自立支援医療という制度があります。
自立支援医療の対象者は、医療サービス等を利用した場合の自己負担額が1割となり、自己負担額の上限(0~20,000円)が設定され、上限を超える医療費の支払は不要になります。
この記事では、自立支援医療(精神通院医療・更生医療・育成医療)について解説します。
自立支援医療の目的は?
自立支援医療とは、障害者総合支援法に定められた制度で、精神や身体の障害を除去・軽減するための医療費の自己負担額を軽減するための公費負担医療制度です。
原則、自己負担が1割となるように公費負担(医療保険・介護保険の給付が優先)が行われます。
自立支援医療費は市町村から支払われます。精神通院医療については都道府県から支払われます。
自立支援医療の対象者
自立支援医療には、精神通院医療、厚生医療、育成医療の3種類があり、それぞれの対象者は次の通りです。
種類(法別番号) | 対象者 |
---|---|
精神通院医療 (21) | 精神疾患で継続的な通院医療を必要とし、精神障害のため長期にわたり日常生活・社会生活への制約がある人(知的障害者は除く) |
更生医療 (15) | 18歳以上の身体障害者手帳を有する人で、医療を行うことで身体の機能障害の軽減・改善など、治療効果が期待できる人 |
育成医療 (16) | 18歳未満の児童で、身体に障害があるか治療を行わなければ障害が残ると認められる疾患があり、かつ確実な治療効果が期待できる人 |
自立支援医療を受けるには?
自立支援医療を受けるには、「自立支援医療受給者証」と「自己負担額管理票」が必要です。(病院や薬局、訪問看護ステーションに提示する必要があります。)
自立支援医療受給者証をもらうには、
- 主治医に自立支援医療の対象になるか相談する。
- 市役所等で自立支援医療の手続きをする。
- 「自立支援医療受給者証」、「自己負担額管理票」が届く。
といった流れ受け取ることができます。
相談から自立支援受給者証が届くまで、1ヶ月以上かかる場合がほとんどですので早めに申請しましょう。
自立支援受給者証の更新
自立支援受給者証には、有効期限があります。有効期限は基本的には1年です。病状や治療方針によっては2年の場合もあります。
更新手続きは、市役所で行います。主治医には、有効期限の3か月前から申請用紙に記入してもらうことができます。
自立支援医療の負担限度額
自立支援医療は、原則として自己負担が1割になり、負担限度額(月額)が設けられます。
負担限度額は、外来・入院の区別はなく、世帯の所得に応じた医療費の上限額が設定されます。上限額は、複数の医療機関を受診した場合、その自己負担を全て合算した上で適用されます。
所得区分 | 負担限度額 | |
---|---|---|
一定 所得以下 | 生活保護世帯 | [生活保護]負担0円 |
住民税非課税 本人収入:80万円以下 | [低所得1]負担上限月額:2,500円 | |
住民税非課税 本人収入:80万円超 | [低所得2]負担上限月額:5,000円 | |
中間 所得層 | 住民税(所得割) 33,000円未満 | 負担上限月額:医療保険の自己負担限度額 ※1の場合 負担上限月額:5,000円 ※2の場合 負担上限月額:5,000円[中間所得層1] |
住民税(所得割) 33,000円以上 | 負担上限月額:医療保険の自己負担限度額 ※1の場合 負担上限月額:10,000円 ※2の場合 負担上限月額:10,000円[中間所得層2] | |
一定 所得以上 | 住民税(所得割) 235,000円以上 | 公費負担の対象外(医療保険の負担割合・負担上限額)※3 ※2の場合 負担上限月額:20,000円[一定所得以上(重継)] |
※1 育成医療の経過措置
※2 高額治療継続者(重度かつ継続)
※3 自立支援医療の公費負担対象外となり、1割負担は適用されず医療保険の負担割合と負担上限額が適用されます。
重度かつ継続とは?
「重度かつ継続」とは、次の通りです。
■疾病等から対象になる者
- 精神通院医療
- (1)統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害者(依存症等)
- (2)3年以上の精神医療の経験を有する医師により、以下の病状を示す精神障害者のため計画的・集中的な通院医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む。)を継続的に要すると診断された者として、認定を受けた者
- 情動及び行動の障害
- 不安および不穏状態
- 更生医療・育成医療
- 腎臓機能障害、象徴機能障害、免疫機能障害
■疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
- 精神通院医療・更生医療・育成医療
- 医療保険の多数該当者
自立支援医療の注意点
自立支援医療は、あくまで自立を支援するための制度です。そのため、例えば精神通院医療対象の人が、骨折や便秘などの治療に関する医療費については適用されません。しかし、精神科の薬の副作用で便秘になる場合等は、便秘を改善するための薬等も、医師の判断によっては、自立支援医療の適用になります。
自立支援医療はどこの病院でも受けられる?
自立支援医療はどこの病院でも受けられるわけではありません。指定自立支援医療機関の指定を受けた医療機関でなければ対象とはなりません。
自立支援医療の対象となる医療サービス
病院や診療所だけでなく訪問看護ステーションも指定自立支援医療機関の指定を受けていれば対象になります。自立支援医療の対象となる医療サービス(医療機関)は次の通りです。
- 病院
- 診療所
- 薬局
- 訪問看護ステーション
医療機関関係者向け
指定自立支援医療機関の指定を受けるには、都道府県知事に対して所定の手続きを行う必要があります。
国東市の指定自立支援医療機関はどこ?
大分県のホームページに、指定自立支援医療機関名簿が公開されていますので、大分県ホームページの「2 指定自立支援医療機関名簿(育成医療・更生医療・精神通院医療)」をご確認ください。
クローバー訪問看護ステーションも指定自立支援医療機関の指定を受けていますので、ご利用を検討中の方はご相談ください。
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