特別管理加算は、医療保険で行う訪問看護、介護保険で行う訪問看護どちらにもある加算です。医療保険で行う訪問看護は、訪問看護管理療養費に要件を満たすことで算定する加算になります。
この記事では、医療保険、介護保険それぞれの特別管理加算について解説します。
特別管理加算とは?
特別管理加算は、傷病により特別な管理を必要とする利用者に対して、計画的な管理を行った場合に月1回算定する加算です。
医療保険と介護保険で次のような違いがあります。
医療保険の特別管理加算
医療保険の特別管理加算を算定する場合、次のような要件があります。
算定要件
- 地方厚生(支)局長へ届出を提出する。
- 24時間対応体制加算を算定できる体制を整備している。
利用者の状態
訪問看護を行う利用者は、状態によって特別管理加算の算定額が異なります。
利用者の状態 | 特別管理加算 |
---|---|
・在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態にある者 ・在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者 ・気管カニューレを使用している状態にある者 ・留置カテーテルを使用している状態にある者 | 5,000円/月 |
・在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態にある者 ・在宅血液透析指導管理を受けている状態にある者 ・在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者 ・在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態にある者 ・在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態にある者 ・在宅自己導尿指導管理を受けている状態にある者 ・在宅人工呼吸指導管理を受けている状態にある者 ・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態にある者 ・在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態にある者 ・在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者 ・人工肛門または人口膀胱を設置している状態にある者 ・真皮を越える褥瘡の状態にある者 ①NPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度 ②DESIGN-R分類D3,D4,D5 ・在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者 | 2,500円/月 |
在宅移行管理加算とは?
在宅移行管理加算は、医療機関の訪問看護が算定する加算です。特別管理加算とほぼ同じ内容になります。但し、医療機関の訪問看護の場合、「当該医療機関を退院した日から起算して1ヶ月以内の期間」という決まりがあります。
医療機関の訪問看護の算定額は、訪問看護ステーションの場合とでは、5,000円→500点、2,500円→250点と表記が異なります。
介護保険の特別管理加算
介護保険の特別管理加算は、利用者の状態によって、特別管理加算(Ⅰ)、特別管理加算(Ⅱ)の2つに区分されています。
特別管理加算は、支給限度額管理の対象外の加算になります。
利用者の状態
利用者の状態による区分の算定額は次の通りです。
特別管理加算(Ⅰ)
利用者の状態 | 算定額 |
---|---|
・在宅悪性腫瘍等患者指導管理 ・在宅気管切開患者指導管理 上記の管理を受けている状態 ・気管カニューレ ・留置カテーテル 上記を使用している状態 | 500単位/月 |
特別管理加算(Ⅱ)
利用者の状態 | 算定額 |
---|---|
・在宅自己腹膜灌流指導管理 ・在宅血液透析指導管理 ・在宅酸素療法指導管理 ・在宅中心静脈栄養法指導管理 ・在宅成分栄養経管栄養法指導管理 ・在宅自己導尿指導管理 ・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理 ・在宅自己疼痛管理指導管理 ・在宅肺高血圧症患者指導管理 上記の管理を受けている状態 | 250単位/月 |
人工肛門または人口膀胱を設置している状態 | |
真皮を越える褥瘡の状態 ①NPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度 ②DESIGN-R分類D3,D4,D5 | |
点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態 |
算定時の注意点
特別管理加算の算定時には次ような点に注意する必要があります。
- 月の第1回目の介護保険の給付対象となる訪問看護を行った日の所定単位数に算定する。
- 介護保険の場合、利用者1人につき1か所の事業所のみが算定。医療保険の場合、関わっているすべてのステーションで算定可能。
- 特別管理加算を算定した利用者については、同月に定期巡回・随時対応サービスや看護小規模多機能型居宅介護における特別管理加算や、同月に医療保険における特別管理加算は算定できない。
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