複数名で訪問看護を行った場合は、加算を算定できます。医療保険、介護保険いずれにも同様の加算はありますが、要件や算定額が異なります。
この記事では、
- 医療保険の複数名訪問看護加算
- 介護保険の複数名訪問加算(Ⅰ)、複数名訪問看加算(Ⅱ)
について解説します。
複数名訪問看護加算とは?(医療保険)
医療保険の複数名訪問看護加算は、複数名で訪問看護を行う必要がある利用者に対して、同時に複数の看護師等による訪問看護を行った場合に算定できる加算です。
複数名訪問看護加算の対象者
複数名訪問看護加算を算定する利用者は、次に該当する必要があります。
- 基準告示第2の1に規定する疾病の利用者 ※1
- 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
- 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為などが認められる者
- 利用者の身体的理由により1人の看護師等による訪問看護が困難と認められる者
- その他利用者の状態から判断して、上記のいずれかに準ずると認められる者
※1 「難病等複数回訪問加算」の記事をご確認ください。
複数名訪問看護加算の設定額
複数名訪問看護加算の設定額は次の通りです。同行する職員(職種)によって変わります。
看護職員 | 同行する職員(職種) | 回数制限 | 設定額 |
---|---|---|---|
保健師 助産師 看護師 准看護師 | 保健師、助産師、看護師、 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 | 週1回限り | 4,500円 |
准看護師 | 3,800円 | ||
看護補助者 | 週3日まで | 3,000円 | |
制限なし ※2 | 1日1回:3,000円 1日2回:6,000円 1日3回以上:10,000円 |
※2 基準告示第2の1に規定する疾病の利用者、特別訪問看護指示書に係る訪問看護を受けている者に限る
看護補助者の資格要件は?
看護補助者の資格要件はありません。介護福祉士や介護職員初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)などの資格も不要です。事務職員でも可能です。
但し、秘密保持や医療安全等の観点から、訪問看護ステーションに雇用されている必要があります。別事業所のヘルパー等との同行訪問は、加算対象外になります。
また、看護職員を看護補助者として複数名訪問看護加算を算定することはできません。
複数名訪問看護加算算定時のポイント
複数名訪問看護加算を算定する場合、次の点に注意する必要があります。
- 利用者又はその家族等に説明を行い、同意を得る必要がある
- 1人以上は看護職員(保健師、助産師、看護師又は准看護師)である
という組み合わせはOKです。
という組み合わせはNGになります。
複数名訪問加算とは?(介護保険)
介護保険の複数名訪問加算は、利用者またはその家族の同意を得て同時に複数の職員が一人の利用者に訪問看護を行った場合に算定します。
複数名訪問加算(Ⅰ)と複数名訪問加算(Ⅱ)の違い
複数名訪問加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、職種によって異なります。
複数名訪問加算(Ⅰ)…同時に2人の看護師等(保健師、看護師、准看護師又は理学療法士、作業療法士、もしくは言語聴覚士が訪問看護を行った場合
複数名訪問加算(Ⅱ)…看護師等と看護補助者が訪問看護を行った場合
複数名訪問加算の算定要件
複数名訪問加算の具体的な算定要件は、次の通りです。
- 利用者またはその家族の同意を得ている
- 利用者の身体的理由により1人の看護師等による訪問看護が困難と認められる
- 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる
- その他利用者等の状況等から判断して、上記に準ずると認められる
複数名訪問加算の算定額
複数名訪問加算は、所要時間によっても異なります。算定額は次の通りです。
加算の種類 | 所要時間30分未満 | 所要時間30分以上 |
---|---|---|
複数名訪問加算(Ⅰ) | 254単位 | 402単位 |
複数名訪問加算(Ⅱ) | 201単位 | 317単位 |
複数名訪問加算算定時のポイント
- 看護補助者は、訪問看護を担当する看護師等の指導の下に、療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)のほか、居室内の環境整備、看護用品及び消耗品の整理整頓といった看護業務の補助を行う者のことです。
医療保険同様、看護補助者の資格は問いませんが、秘密保持等の観点から訪問看護事業所に雇用されている必要があります。 - 複数名訪問加算(Ⅱ)は、平成30年4月の改定で新設されました。
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